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2012-06

診察室にて - 2012.06.30 Sat

 ワタルの発達を診てもらっている小児精神科のI先生は、有名な先生なのですが、お母さんたちの間では、「怖い」と密かに恐れられています。例えば、診察室で子育てについて困っていることを先生に伝えるとしたら、子どもを直させるのではなく、「お母さんのその対応が間違っている!」と、厳しく叱られる場合があるのです。I先生の普段からの顔の表情や、雰囲気も怖いのですが、その言い方もキツいのです。
 今年の1月に役所に提出するための発達の診断書の必要があり、I先生の診察を受けることになりました。ワタルには、「病院の先生とお話しをする」と伝えてあります。

「佐藤さ〜ん!」

と名前が呼ばれたので、ワタルと診察室に入って行きました。I先生がデスクに座っていて、向かい側にイスが二つ置いてあります。私は、ワタルに、「ここに座ってね、先生とお話しだよ」と言い、私のとなりに座らせました。

「で、今日はなんで来たの?」

と、I先生は、ぶっきらぼうに言いました。私が、診察を受けにきた説明をし出すと、ワタルは、イスから立ち上がり、診察室をウロウロと歩き回りました。診察室には、いろいろなものがあります。積み木、パズル、画用紙とクレヨン、奥の隅には、大きいクマのプーさんのぬいぐるみが台の上に置いてありました。ワタルは、それらが気になるようで、見に行ったのです。ひととおり見終わったと思われる頃に、「ワタル、先生とお話しだよ」と私は言いました。ワタルが戻ってきて、イスに座ると同時に私に向かって、言いました。

「プーサンノヌイグルミ、アタマニノセテモイ〜イ?」

「え!先生の頭に?」

と、私が小声で答えると、「ウン」と言います。先生は、カルテに何かを書いていて、聞こえていません。

(あそこにある大きいプーさんが先生の頭の上に?)

想像してしまい、クスっとなりました。

「先生に聞いてごらん」

と、はっきりと言いました。その台詞に気づいた先生が、顔を上げ、「なに?」と言いました。するとワタルが、

「プーサンのぬいぐるみ、頭に乗せてもい〜い?」

と、言いました。すると先生がきょとんとして、

「私の頭にですか?」

と言いました。ワタルは、

「ウン」

とうなずきました。途端に先生が、ワッと笑顔になり、

「ノーサンキューです。お断りします」

と笑顔のまま、言いました。



まりもっこり - 2012.06.24 Sun



 先月、ワタルは三泊四日で、道東に修学旅行に行ってきました。
 一昨年までは東北だったのですが、地震の影響で、去年と今年は、ワタルの中学校は、道東へ行っています。行き先は、摩周湖、網走監獄、釧路湿原、知床などです。
 修学旅行に行く前、私は何となく、網走監獄の話題についつい触れてしまいました。「悪いことをした人が入る牢屋」の博物館だよ~と、それとなく、さりげなく、話していました。
 帰ってきて、ワタルに、「網走刑務所はどおだった?」と聞くと、「にせものだった」と、余裕の表情で話してくれました。行く前はビビッていたけど、にせもので、たいしたことなかったというニュアンスです。
 後日配布された学級通信には、

「今となっては偽者だった!と笑って話していますが、牢屋に入るのに腰が引け、自分が入っている間に勝手に鍵がしまっては困るので念入りに鍵を調べ、鍵が閉まらないと確信したところにだけ入るくらい慎重に用心していました!」

と書いてありました・・・。

 さて、入院中のお父さんにお土産を買ってきてほしいと思い、財布にお土産リストを書いた紙を入れて、先生のお手伝いのもと、家族全員分お土産を買ってきてもらいました。そのリストの中に、私は、「まりも」と書きました。私の中では、「道東イコールまりも」です。
 そして、買ってきてくれました。まりもです。

「ワタル、まりも、ありがとう!病院に持っていくね!」

と、ワタルに言いました。すると、ワタルがまりもを見て、

「・・・・、ま・・・、まりまり、まりもっこり!」

と、言います。変だな?と思い、

「まりもっこりじゃないよ、これはまりもだよ」

と言うと、また、覚えづらい単語をやっと覚えたというようなたどたどしい言い方で、

「・・・・、ま、まりもっこり!」

と言います。

「何言ってるの?ワタル、まりもっこりは、まりものキャラクターで目と鼻が付いているんだよ、iPadで検索してごらん?これは、本物のまりもだよ」

そう言って、画像検索で「まりもっこり」を見てもらいました。

「ほら、これだよ」

と、私が教えても、何となく、わかってるようなわかっていないような感じです。もう一度、本物を見せて、「これはな~に?」と聞くと、今度はあっさり「まりも」と答えました。

 後日、担任の女の先生に会う機会があり、

「先生、ワタルに修学旅行のお土産、まりも買ってきてもらったんだけど、なぜかまりもっこりって言うんですよね・・・」

と言うと、

「私じゃありません、教えたのは」

と言いました。

 じゃあ、一体、誰が???



 

病院の夜のおばけ #リュウ2 - 2012.06.24 Sun

 お見舞いに行くと、私の質問はだいたい決まっています。

「今日の体調はどうだったか」「リハビリのプリンやゼリーは食べれたか?」「夜は眠れたか?」「歩行訓練でどれくらい歩けたか」

です。
 ある時、ふと、

「夜の病院って、こわくない?」

と、聞きました。すると、リュウは、

「コワイ・・・」

と、返事しました。

「もしかしたら、おばけでる?」

と、私。

「・・・うん」

と、リュウ。私は急に緊張してきました。

「え!やっぱりでるの?どんなおばけ!?」

「・・・ウトウトしてて、ふと目が覚めたら・・・、目の前に女の人の顔が・・・・」

(もしかして、生首が!)

「・・・で、明かりで・・・、ボーーーっと、照らされている・・・度々あって、コワイ・・」

(ん?女の人の顔が明かりで照らされていて、度々ある?それって・・・)

「リュウ・・・、それって、もしかしたら、看護師さんの夜の巡回なんじゃないの?」

そう私が言うと、「え!」とびっくした顔になり、それはひどいことを言ったという表情になりました。

「でもコワイんでしょ?巡回だとしても、眠ってて、ふと目が覚めたら、目の前にボーーっと、明かりに照らされた看護師さんの顔があったら」

「・・・うん、コワイ・・・」

「わかった!リュウを守ってあげられるのは、私しかいないから、リュウは患者だから、言ってあげる!看護師さんに。もう一回聞くけど、どうしてもコワいんだよね?」

「・・・うん・・・」

 私は、リュウにそう約束したけど、看護師さんにどういう風に言おうか悩みました。
 でも、家族と離れ、怪我と病気でひとりで病院に入院しているリュウの心細い気持ちを救ってあげられるのは、私しかいないと思いました。それも初めての入院生活です。体験することも初めてのことばかりです。「目が覚めたら家」という感覚は、染み付いていることなので、半分夢の中という状態で、自分の状況を把握するのは、難しいことなのかもしれません。
 私は、数いる看護師さんの中で、たまたま病室に入ってきた看護師さんを呼び止めました。

「スミマセン、あの~、夫が、夜見回にくる看護師さんの明かりで照らされた覗き込む顔が、コワいって言うんですけど・・・、何とかなりませんか?」

「・・・・・・、わかりました。ご本人様には、わからないように遠くから確認するようにします」

 看護師さん、ごめんなさい。




私はHOME #リュウ1 - 2012.06.23 Sat

 平成24年4月に入院して以来、夫のところへ、毎日お見舞いに行っています。
 私は、月曜日から金曜日まで、フルタイムで仕事をしているので、行けるのは平日だと6時くらいです。
 ある時、私が病室に入ると、

「おかえり」

と、リュウが言いました。私は、一瞬、(あれ?)と思いましたが、合わせようと思い、

「ただいま」

と、言いました。

 また、違う日に、

「問題は、朝、どうやって、病院に来るか、なんだ」

と、言いました。自分は今、病院に入院しているのに、何を話しているのだろうと思いました。でも、あ!と気がつきました。リュウは、私が目の前にあらわれると、自分はわが家にいると思っているんだ!だから「おかえり」って言うんだ!リュウにとって、私は、HOMEなんだ、ということをです。

「なに言ってるの?リュウ!まわりを見て。ここは、S病院だよ」
「あっ、そっか・・・」

と言って、リュウが笑いました。








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プロフィール

vanilla

Author:vanilla
「やさしいまなざし」は「Vanilla Web Site」の日記の部分です。

登場人物(平成28年11月現在)
 
佐藤リュウ(59歳)←夫
佐藤バニラ(永遠の20歳)←私
佐藤イブキ(社会人)←長男
佐藤ワタル(福祉施設通所)←次男

 夫佐藤リュウは、平成17年頃(48歳)より、物が二重に見える、手に力が入らない、全身が重苦しく感じる症状があり、会社勤務ができなくなりました。
 若年性のパーキンソン病の疑いとのことで、平成18年(49歳)より神経内科に通院し、平成19年にはパーキンソン病関連疾患と診断名が付きました。
 その後、平成22年 (52歳)、診断名が若年性の「進行性核上性麻痺」に変わりました。
 ずっと自宅より通院していましたが、平成24年4月に自宅外で転倒骨折し、手術入院となってしまいました。入院時、誤嚥性と思われる肺炎も併発していて、現在も入院中です。平成26年11月19日に胃瘻造設しました。
 夫が仕事ができなくなった平成17年時、上の子が小学校6年生、下の子が小学校2年生(多動と自閉で特別支援学級在籍)でした。
 私は、平成19年より、平日フルタイムで仕事しています。たくさんの方のお力をお借りし、生活しています。
 北海道在住です。

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