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2020-07

農園のミミズ #ワタル(小学校時代) - 2013.01.19 Sat

 2005年(平成17年)春。
 ワタル8歳(K小学校特別支援学級2年生)。

 今日はみんなで借りた市内の農園へ、私たち家族四人とみんなで行きます。
 お天気もいいし、将来イブキやワタルが、農作業の道に進むきっかけになるかもしれないと思うと、色んなことに興味を持って欲しいと、張り切って出かけました。
 今日は、今年初めての農作業で、うねに沿って、畑の土を掘り起こします。

 さあ、作業が始まりました。ワタルは、私の横にいて私の作業を見ています。リュウとイブキは、違ううねにいます。
 私がスコップで、土を思いっきりひっくり返すと、なんかキラキラするものが土に混じって、土と一緒に落ちました。
 地面を見ると、そのキラキラしたものの正体がわかりました。ミミズです。それも立派なミミズ。栄養たっぷりだったんですね。
 次の土を掘り起こしと、またキラキラしたミミズが。掘り起こした畑の表面をよ~く見ると、地面の中にいた何匹ものミミズが、慌てて逃げようとしています。
 また次の土を掘り起こそうとしたその時、私の横にいたワタルが突然しゃがみ、ミミズに手を伸ばしました。くねくねと動くミミズに興味を持ったようです。
 ワタルは、一匹のミミズを両方の手のひらの上にのせ、まるで初めて見るもののように、観察し始めました。ワタルのふたっつの目の真ん前、鼻にくっつきそうな位置に、くねくねと動く太ったミミズがいます。
 あっ!と思った瞬間、ミミズはワタルの小さな手の平から地面に落ちました。ミミズも逃げようと必死です。
 ワタルは、逃げたミミズを目で追い、また、捕まえました。
 そうして、また目の高さまで持って行きました。今度は、スルッと逃げ落ちるミミズを片手でキャッチし、また逃げ落ちるミミズを、また別の手でキャッチし始めました。まるで、スライムのおもちゃで遊ぶような感じです。

 私は・・・。気が気でありませんでした。ミミズが死んだらどうしようと思ったのです。そこで、ミミズとたわむれるのを、止めさせようかと思いました。でも・・・、何のためにここに来たのか・・・、自然に触れ、何でも興味を持って欲しく・・・、そう思うと、禁止するのは、今日来た意味がなくなると思いました。
 そして、

「ワタル!ミミズは生きているから、強くさわったら死んでしまうよ。だから、そ〜〜〜〜っとさわってあげてね」

と言いました。
 ワタルは、「うん」と言い、引きつづき、ミミズとたわむれました。

 今度は、ミミズが地面に落ちる間隔を引き延ばそうと、思いっきり高い位置へミミズを持ち上げました。頭の上よりずっと高い位置です。私は、ミミズがワタルの顔の上に落ちないかと はらはらしました。

 太陽が輝き、ミミズもその光に反射して、ピカピカ光っています。

 私は、しばらくしたら満足するだろうと、農作業を再開し、みんなと一緒に土を掘り起こし始めました。
 ワタルが戻ってきたら、ワタルにも掘り起こしてもらおう。

 すると、ちょっと経ってから、ワタルが私のところに来て、何かを必死に訴え始めました。

「ミミズが!ミミズが!」

「え!どうしたの?ワタル」

 私がそう言うと、私の目の前に、両手を突き出しました。

「土を取って欲しいの!」

 ワタルがそう言うので、手の中を見てみると、そこには、土まみれのミミズがいました。

「あれっ!どうして、土まみれなの?」

 さっきまでミミズは、ピカピカと光り、土なんか付いてなかったのです。

「土!取ってぇ〜〜!」

 必死に訴えるので、私も動揺し、ドラム缶にたまっている雨水で、洗おうかと考えました。

(でも、待って。このミミズ、死んでる・・・。ミミズって、生きているとからだの中からなにか得体の知れない油?液を出して、土が付かないようになっているんだ。でも死んだら、その液も出なくなって、土が付着するんだ。ワタルは、土を取って欲しいとは、土が取れたら、また、動き始めると思っているんだろうか?)

「ワタル。このミミズ、死んでいるよ。強くさわったからかな?ごめんなさいして、土に埋めてあげようね。ワタル、そうっと触らないと、死んでしまうよ」

 そう言い、ワタルに土の中にミミズを埋めてもらいました。
 その後はワタルに私の話しが伝わったようで、気持ちを新たにしたような感じで、また、別のミミズと遊び始めました。

 でも、私は気になって仕方がありませんでした。またミミズが死んだらどうしよう。でも、さっき、ワタルは何かを学んだはず。このまま、放っておいて、大丈夫。でも、気になる・・・。
 それから私は、ミミズが気持ち悪く、それと楽しそうにたわむれるワタルも、気持ち悪かったのです。

(でも今日は、自然に触れさせるために来たのだ・・・)

 そこで、私はある行動を起こしました。
 まず、ワタルをクルッと後ろ向きにし、ミミズとたわむれている様子を、私から見えないようにしました。
 その上、しゃがんでいるワタルを、そのまま少しずつ少しずつ押して行き、ずっと向こうまで移動したのです。
 結果、畑の隅っこで、こちらに背を向け、一人ぽつんとしゃがんでいるワタルがいたのでした。








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プロフィール

vanilla

Author:vanilla
「やさしいまなざし」は「Vanilla Web Site」の日記の部分です。

登場人物(平成28年11月現在)
 
佐藤リュウ(59歳)←夫
佐藤バニラ(永遠の20歳)←私
佐藤イブキ(社会人)←長男
佐藤ワタル(福祉施設通所)←次男

 夫佐藤リュウは、平成17年頃(48歳)より、物が二重に見える、手に力が入らない、全身が重苦しく感じる症状があり、会社勤務ができなくなりました。
 若年性のパーキンソン病の疑いとのことで、平成18年(49歳)より神経内科に通院し、平成19年にはパーキンソン病関連疾患と診断名が付きました。
 その後、平成22年 (52歳)、診断名が若年性の「進行性核上性麻痺」に変わりました。
 ずっと自宅より通院していましたが、平成24年4月に自宅外で転倒骨折し、手術入院となってしまいました。入院時、誤嚥性と思われる肺炎も併発していて、現在も入院中です。平成26年11月19日に胃瘻造設しました。
 夫が仕事ができなくなった平成17年時、上の子が小学校6年生、下の子が小学校2年生(多動と自閉で特別支援学級在籍)でした。
 私は、平成19年より、平日フルタイムで仕事しています。たくさんの方のお力をお借りし、生活しています。
 北海道在住です。

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