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2020-02

Iさんとのお別れ。 - 2014.10.08 Wed

 リュウがいまお世話になっているM病院に入院してから、入退院を繰り返しているIさんの奥さんと自然と言葉を交わすようになりました。I夫妻はご高齢と思われました。患者ご本人のIさんは会話は困難なようです。Iさんが入院中は奥さんも毎日のように旦那さんの食事の介助で病院に来ていました。

 毎日のように病院に通ってくるご家族同士は、目には見えませんが、何となく連帯感を抱いているように思います。ご家族の方とは配偶者さん、娘さん、息子さん、そして親御さんです。私は妻の立場なので、この中でも、同じ立場の方はまた特別な感じが。

 以下は私の7月6日に書いたブログ記事の抜粋です。


 私は夕食時、I夫人はお昼に来るのですれ違いです。ところがここのところI夫人が夕食時に来るように。食事のためディスペースに車いすに乗ったIさんを連れて来ています。

「どうしたの?」

と私。

「なんかね、ここのところ食べられなくて、昼も夜も来てるの」

と奥さん。

「心配だね・・・」

 今日もディスペースで 一緒でした。

「どうだった?食べられた?」

と私。

「今日はね、何とか半分くらい食べられたよ、旦那さんは?」

と嬉しそうに奥さん。

「半分食べられたんだ、よかったね~!うち?今日は完食できたの!自分ではスプーンで運べなかったけど。昨日、昼も夜もほとんど食べられなかったから、よかったわ~」

と私。

「そうなんだよね・・・。食べられなかったら、病院から歩いて帰る時も気分もどんよりでね、食べられたら帰り道も気分もいいんだよね。気分が全然ちがうの」

と奥さん。


 ブログ記事抜粋は以上です。このことがあった後くらいから、か、奥さんの姿を見かけなくなりました。Iさんもです。転院?それとも?私はずっと気にしていたのですが、看護師さんに聞くに聞けずにいました。
 すると一昨日、もう一人やっぱり入退院を繰り返している旦那さんの付き添いで病院に来るOさんが、リュウの隣りに座っている私のところに来ました。そして、

「久しぶりだね、うちはまた入院になったんだよ」

と話し始めましたが、私の口から出てきた言葉は、それを遮るように、

「Iさんを見かけない」

というものでした。
 しかし、O夫人はまるで私の言葉が聞こえなかったように、話を続けました。
 私もウンウンとうなづきながら、ほぼ上の空で聞いていると、しばらくしてからO夫人の声のトーンが微妙に変わり、

「Iさんも奥さんも見かけないでしょ?・・・Iさん、亡くなったんだよ」

とO夫人。
 それを聞いて私は、何となく抱いていた悪い予感が当たってしまったと思いました。

「もう何ヶ月か前になるよ、奥さんは今もしょげてて、家から出ないから、うちに遊びにおいでって言ったりしてるんだけどね・・・、奥さんもご高齢でね・・・」

と心配そうに教えてくれました。


 亡くなったIさんは認知症もあり、奥さんは、

「私のことわからないの」

とちょっと寂しそうに言いながら、食事の介助をしていた時がありました。
 でもそう言われないと私は気がつきませんでした。だって、奥さんの口調、それに反応する旦那さんは、遠目で見ると長年連れ添った夫婦以外の何ものにも見えませんでしたから。

 こんなこともありました。
 私が温泉一泊に行ってきたと言うと、

「旦那の前は親で、ずっと介護でしょ、旅行に行くなんてことは・・・、思い浮かびもしないの」

と奥さん。

 私はI夫妻を見かけると嬉しく思っていました。
 奥さんは物腰が柔らかですが、自分の気持ちを旦那さんに素直に伝えていました。内容はきついとも思われるのですが、やんわりふんわりと旦那さんに伝えるのです。
 旦那さんも自分の気持ちを伝えられませんが、奥さんの台詞に自分の気持ちを主張しているような、何となく呼応しているようにも見えました。

 私が手を握って旦那さんに挨拶をすると、つむっていた目を開けてくれ、私の目を見て「ウン」と答えてくれたことも何回もありました。
 奥さんの介助で、Iさんは私たちの前でディスペースで何回も食事を一緒にしました。リュウが入院してから毎日ではありませんが、ずっとです。

 ご縁があり、ご一緒できて嬉しかったです。
 ありがとうございました。


 Iさんのご冥福をお祈りします。

 Iさんの奥さん、ゆっくりでいいですからまた笑顔を。



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プロフィール

vanilla

Author:vanilla
「やさしいまなざし」は「Vanilla Web Site」の日記の部分です。

登場人物(平成28年11月現在)
 
佐藤リュウ(59歳)←夫
佐藤バニラ(永遠の20歳)←私
佐藤イブキ(社会人)←長男
佐藤ワタル(福祉施設通所)←次男

 夫佐藤リュウは、平成17年頃(48歳)より、物が二重に見える、手に力が入らない、全身が重苦しく感じる症状があり、会社勤務ができなくなりました。
 若年性のパーキンソン病の疑いとのことで、平成18年(49歳)より神経内科に通院し、平成19年にはパーキンソン病関連疾患と診断名が付きました。
 その後、平成22年 (52歳)、診断名が若年性の「進行性核上性麻痺」に変わりました。
 ずっと自宅より通院していましたが、平成24年4月に自宅外で転倒骨折し、手術入院となってしまいました。入院時、誤嚥性と思われる肺炎も併発していて、現在も入院中です。平成26年11月19日に胃瘻造設しました。
 夫が仕事ができなくなった平成17年時、上の子が小学校6年生、下の子が小学校2年生(多動と自閉で特別支援学級在籍)でした。
 私は、平成19年より、平日フルタイムで仕事しています。たくさんの方のお力をお借りし、生活しています。
 北海道在住です。

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