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2020-02

診察室にて - 2012.06.30 Sat

 ワタルの発達を診てもらっている小児精神科のI先生は、有名な先生なのですが、お母さんたちの間では、「怖い」と密かに恐れられています。例えば、診察室で子育てについて困っていることを先生に伝えるとしたら、子どもを直させるのではなく、「お母さんのその対応が間違っている!」と、厳しく叱られる場合があるのです。I先生の普段からの顔の表情や、雰囲気も怖いのですが、その言い方もキツいのです。
 今年の1月に役所に提出するための発達の診断書の必要があり、I先生の診察を受けることになりました。ワタルには、「病院の先生とお話しをする」と伝えてあります。

「佐藤さ〜ん!」

と名前が呼ばれたので、ワタルと診察室に入って行きました。I先生がデスクに座っていて、向かい側にイスが二つ置いてあります。私は、ワタルに、「ここに座ってね、先生とお話しだよ」と言い、私のとなりに座らせました。

「で、今日はなんで来たの?」

と、I先生は、ぶっきらぼうに言いました。私が、診察を受けにきた説明をし出すと、ワタルは、イスから立ち上がり、診察室をウロウロと歩き回りました。診察室には、いろいろなものがあります。積み木、パズル、画用紙とクレヨン、奥の隅には、大きいクマのプーさんのぬいぐるみが台の上に置いてありました。ワタルは、それらが気になるようで、見に行ったのです。ひととおり見終わったと思われる頃に、「ワタル、先生とお話しだよ」と私は言いました。ワタルが戻ってきて、イスに座ると同時に私に向かって、言いました。

「プーサンノヌイグルミ、アタマニノセテモイ〜イ?」

「え!先生の頭に?」

と、私が小声で答えると、「ウン」と言います。先生は、カルテに何かを書いていて、聞こえていません。

(あそこにある大きいプーさんが先生の頭の上に?)

想像してしまい、クスっとなりました。

「先生に聞いてごらん」

と、はっきりと言いました。その台詞に気づいた先生が、顔を上げ、「なに?」と言いました。するとワタルが、

「プーサンのぬいぐるみ、頭に乗せてもい〜い?」

と、言いました。すると先生がきょとんとして、

「私の頭にですか?」

と言いました。ワタルは、

「ウン」

とうなずきました。途端に先生が、ワッと笑顔になり、

「ノーサンキューです。お断りします」

と笑顔のまま、言いました。



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プロフィール

vanilla

Author:vanilla
「やさしいまなざし」は「Vanilla Web Site」の日記の部分です。

登場人物(平成28年11月現在)
 
佐藤リュウ(59歳)←夫
佐藤バニラ(永遠の20歳)←私
佐藤イブキ(社会人)←長男
佐藤ワタル(福祉施設通所)←次男

 夫佐藤リュウは、平成17年頃(48歳)より、物が二重に見える、手に力が入らない、全身が重苦しく感じる症状があり、会社勤務ができなくなりました。
 若年性のパーキンソン病の疑いとのことで、平成18年(49歳)より神経内科に通院し、平成19年にはパーキンソン病関連疾患と診断名が付きました。
 その後、平成22年 (52歳)、診断名が若年性の「進行性核上性麻痺」に変わりました。
 ずっと自宅より通院していましたが、平成24年4月に自宅外で転倒骨折し、手術入院となってしまいました。入院時、誤嚥性と思われる肺炎も併発していて、現在も入院中です。平成26年11月19日に胃瘻造設しました。
 夫が仕事ができなくなった平成17年時、上の子が小学校6年生、下の子が小学校2年生(多動と自閉で特別支援学級在籍)でした。
 私は、平成19年より、平日フルタイムで仕事しています。たくさんの方のお力をお借りし、生活しています。
 北海道在住です。

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