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2020-02

「一票の重みを考える〜18歳選挙権施行を前に」木村草太さん - 2016.06.21 Tue

 6月19日(日)に選挙権年齢を「20歳以上」から「18歳以上」に引き下げる改正公選法が施行されました。次男も対象者になります。約一ヶ月前に北海道新聞朝刊に載っていた「一票の重みを考える〜18歳選挙権施行を前に」という木村草太さんの論文が、私自身へも「へぇ〜」と勉強になったので、アップします。

*************

主権者の責任 引き受けよう

 公職選挙法の改正により選挙年齢が引き下げられ、18歳以上の国民が選挙権を行使できるようになりました。選挙権の行使は、主権者の大事な権限の一つとされています。では、主権者であるとはどういうことでしょうか。憲法の教科書を見ると、「主権者とは、国の政治のあり方を最終的に決める人のこと」と書いてあります。読み飛ばしてしまいそうなくらいにさりげない記述ですが、ちょっと掘り下げて考えてみましょう。
 ここに言う「政治のあり方」には、実に様々なものが含まれます。例えば、死刑判決もその一つです。死刑判決を実際に書くのは訴訟を担当した裁判官ですが、それは裁判官の個人的な判断で出されるわけではありません。国会が作った法律に基づいて出されます。そして、法律を作るのは国会議員、その国会議員を選ぶのは主権者である国民です。だから、死刑が宣告されたとか、執行されたというニュースを見るとき、「自分とは関係ない。偉い人たちが決めたことだ」と思うのではなく、「自分がこの死刑に関わっている」と考えてみる必要があります。
 自衛隊の方々への命令もまた、私たち主権者が最終的な責任を負わなくてはならない決定です。自衛隊は行政機関の一つですから、自衛隊法には、自衛隊の最高指揮官は内閣総理大臣だと書いてあります。総理大臣を選ぶのは国会議員であり、その国会議員を選ぶのは私たち国民です。自衛隊員の方々は、被災地での支援活動や日本を侵略から守る仕事の他にも、ソマリア沖での海賊対策、あるいは国連平和維持活動(PKO)への参加など、様々な仕事をしています。その中には、自衛隊員の命に関わるとても危険な業務もあります。さらに、昨年、自衛隊の海外活動を拡大する安保法制が成立したので、総理大臣は、これまで以上に危険は任務を命じることができるようになりました。
 これから、自衛隊員の方々には、様々な命令が出されるでしょう。その命令の一つ一つの責任は、実は、私たちが追っているのだということを忘れないでください。本当に、自衛隊員の方に「命を懸けてやってください」と言える命令なのか、その命令に責任を持てるのか。自衛隊の海外派遣のニュースを見るときは、ぜひ、真剣に考えてみてください。
 この他にも、主権者として責任をとらなくてはならないことは、たくさんあります。生活保護や社会保障・社会福祉が行き届かずに誰かが餓死してしまったら、それは有権者である私たち一人一人の責任です。学校でいじめを辞めさせることができず、子どもが自殺をしてしまったら、やはり、私たちは主権者としての責任を痛感しなくてはならないのです。

権力独占 防ぐために

 こう考えると、「あなたは今日から主権者の一人です」という言葉は、とてつもなく重たい言葉に見えてきます。「そんな重たい責任は負いたくない」と思った人もいるかもしれません。私は、その気持ちはとても健全な感覚だと思います。国の政治のあり方は時に人の生死に関わりますから、そう簡単に判断などできなくて当然です。「死刑を命じたり、自衛隊員に命がけの業務を命令したりするのも平気です」と何の躊躇もなく言えてしまうのは、むしろ、無責任な態度でしょう。
 しかし、どんなに重たく感じられても、私たちは、主権者としての責任を引き受けなくてはなりません。それが国民主権というものです。なぜ他人任せにしてはいけないのでしょうか。
 人間は誰しも、人を思いやる心、みんなの幸福を支えたいという気持ちを持っています。また、そうした社会貢献のために勉強したり、汗をかいたりすることに誇りを感じます。だから、みんなが集まって十分な議論をすることで、みんなにとってよい政治が実現するのです。
 もっとも同時に、人間は誰しも、自分が得をしたい、人よりもよい生活をしたいという欲望も持っています。だから、権力を誰かが独占するようになれば、権力の座に就いた人は、みんなのためではなく、自分のために権力を使うようになるでしょう。自分に文句を言う人を殺したり、暴力で排除したりすることもできてしまいます。権力を独占しながら、思いやりの気持ちや、社会に貢献しようとするプライドを持ち続けるのは簡単なことではありません。権力の独占は、どんなによい人であっても、人間を変えてしまうのです。
 権力の独占を防ぐためには、国民全員が主権者として政治の責任を引き受け、誰にも他の人を圧倒するだけの力を持たせないようにしなければなりません。

声を上げて 社会動かす

 もちろん、国民全員が主権者になれば、残虐な権力濫用や政治の失敗は絶対に起きない、というものではありません。歴史を紐解けば、国民主権の国であるにもかかわらず、国民の一部が自分たちの利益のためだけに徒党を組み、弱いものを弾圧したという事件がたくさんあります。今現在の日本だって、沖縄に日米安保条約のコストを集中的に引き受けさせたり、LGBT(性的少数者)の人たちに家族を作る権利を不完全にしか与えなかったりと、弱いものを弾圧する政治のあり方をいくらでも見つけることができます。
 しかし、「それはおかしい」と誰かが声を上げることくらいはできるかもしれない。最初は少数でも、それに耳を傾ける人が一人また一人と増えてくるかもしれない。そうした動きは、いつの日か社会を大きく動かす流れにまで育つかもしれない。独裁者に怯える国家とは異なり、一人一人の国民が思いやりやプライドを失わない国家では、そのような希望を持つことができます。
 実際、独裁国家では差別がいつまでも続いてしまうのに対して、国民主権の国家では差別の解決に向かっている、という例も多くあります。だから、日本は、国民全員が主権者としての責任を引き受ける国になったのです。
 一部の人だけが政治のあり方を決める国に住むことは、ある意味では、とても楽です。難しいニュースを我慢して見る必要はないし、残虐な出来事や政治の失敗について、責任を感じる必要もない。しかし、そこでは、思いやりやプライドが、どんどん失われて行きます。そして、恐ろしい独裁が生まれるでしょう。
 18歳になる皆さんは、なぜ自分が主権者としての責任を引き受けなくてはいけないのかを、ほんの少しだけゆっくりと考えてみてください。そのことを一生懸命考えてくれる人が、一票を投じる。それが、日本の希望なのです。



↑2016年5月21日北海道新聞朝刊「各自各論」上段:クリックすると大きくなります。



↑2016年5月21日北海道新聞朝刊「各自各論」下段:クリックすると大きくなります。

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Author:vanilla
「やさしいまなざし」は「Vanilla Web Site」の日記の部分です。

登場人物(平成28年11月現在)
 
佐藤リュウ(59歳)←夫
佐藤バニラ(永遠の20歳)←私
佐藤イブキ(社会人)←長男
佐藤ワタル(福祉施設通所)←次男

 夫佐藤リュウは、平成17年頃(48歳)より、物が二重に見える、手に力が入らない、全身が重苦しく感じる症状があり、会社勤務ができなくなりました。
 若年性のパーキンソン病の疑いとのことで、平成18年(49歳)より神経内科に通院し、平成19年にはパーキンソン病関連疾患と診断名が付きました。
 その後、平成22年 (52歳)、診断名が若年性の「進行性核上性麻痺」に変わりました。
 ずっと自宅より通院していましたが、平成24年4月に自宅外で転倒骨折し、手術入院となってしまいました。入院時、誤嚥性と思われる肺炎も併発していて、現在も入院中です。平成26年11月19日に胃瘻造設しました。
 夫が仕事ができなくなった平成17年時、上の子が小学校6年生、下の子が小学校2年生(多動と自閉で特別支援学級在籍)でした。
 私は、平成19年より、平日フルタイムで仕事しています。たくさんの方のお力をお借りし、生活しています。
 北海道在住です。

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