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2018-06

鎌状赤血球の話~「1/4の奇跡より」 - 2016.07.31 Sun

 鎌状赤血球のお話は色々考えさせられるので、このタイミングで紹介したいと思います。


 このブログ記事はマキノ出版の「1/4の奇跡(山元加津子ほか著)」という本の内容を中心に書いています。以下本より。

************

 人前に出ることも、話すことも苦手な「かっこちゃん」(注:養護学校の先生をしていた山元加津子さん)が、全国を奔走する理由。その原動力になっているのは、難病で亡くなった、一人の少女(雪絵ちゃん)と交わした約束にありました。

 雪絵ちゃんは、多発性硬化症(注:MS)という難病を抱えていました。
 ある日、「何かうれしくなるような話をして」という、入院中の雪絵ちゃんに、山元先生は、前日に見たという興味深い科学番組(注:NHK人体3)の話をしました。
 昔、アフリカのある村で、マラリアという伝染病が猛威をふるい、村は壊滅的な打撃を受けてしまいます。しかし、どんなに伝染病がまん延しても、どんなに絶滅するほどの病死者が出ても、必ず生き残るグループがいました。
 後年、そのメカニズムを調べようと、多くの研究者が、「生存者」本人から、その子孫にいたるまで、徹底的に調査を行いました。すると、一つの事実がわかったのです。
 それは、マラリアが多く発生する地域では、ある一定の割合で、伝染病に強い突然変異遺伝子を持つ人(鎌状赤血球の遺伝子を持つ人)がいる、ということ。そして、伝染病に強い遺伝子を持つ人が生まれるとき、高い確率で、そのきょうだいに重い障がいを持つ人が現れる、ということ。そんなことがわかったのです。その確率は、4分の1。4人の子どもが生まれた場合、必ずそのうち1人は、成人前に亡くなってしまうような、重い障がいを持つことになります。
 つまり、人間がマラリアとの生存競争に勝つには、マラリアに強い遺伝子のほかに、病気や障がいを持つ遺伝子も必要だった、ということです。病気や障がいを「引き受ける人」がいなければ、その村は絶滅していたことになります。

 山元先生が、雪絵ちゃんにその話をすると、雪絵ちゃんはしばらく考え込んだ後、こう言いました。「私たちだけで、こんなにいい話を知っているのはもったいないよ。病気や障がいがとても大切だ、ということ。みんながすばらしい役割を持っていること。それが、科学的に証明されていること。すべての人が、この宇宙から必要とされていること。そんなことを、世界中の人があたりまえに知っている世の中に、かっこちゃんがしてほしい」 

 そんなの無理だよ、と山元先生が言おうとしたとき、それをさえぎるようにして雪絵ちゃんは嘆願しました。
「何も言わないで約束して。かっこちゃん、お願い——」

「その約束が、毎日、私の心を揺さぶり続けてくれるんです」と山元先生は言います。
 かっこちゃんが、障がいを持つ子供たちから日々教えてもらっていること。それは、なぜ私はここに存在するんだろう、生きるってどういうことなんだろう、大好きって何なのだろう、そんな問いに対する答え(=本当のこと)なのだと言います。



 次に鎌状赤血球症の治療と新薬の開発に20年以上取り組んでこられたUCLA大学医学部教授・新原豊さんのお話を紹介します。このお話もこの本より。

***********

「鎌状赤血球症は、とても悲惨な病気です。発作が起こると、激しい腹痛、全身の骨の痛み、吐き気にたびたびおそわれます。その症状が進むと、脾臓の萎縮による激痛発作にみまわれ、骨の壊死や、脳梗塞や,心筋梗塞による神経症の損傷で、死にいたってしまうのです」
「発作はいつ起こるかわかりません。当然、学業や仕事に支障をきたすことになります。そのため、患者は病気と闘うだけではなく、社会的に阻害され、心理的、経済的な面でも大変はご苦労をかかえてしまうのです。発作のために、仕事を続けることができず、経済的にも困窮し、心も体もぼろぼろになった多くの患者が私のもとに訪れてきます」

「なぜ私だけがこんな苦しい思いをするのか、周りはこの痛みを理解してくれず、私をじゃま者扱いする。私がこの世に存在している意味がわからないとなげくのです。その嘆きに触れたとき、私は、生涯をかけて、鎌状赤血球の新薬を開発しようと決心したのです」

「それは鎌状赤血球が、正常な赤血球に比べてグルタミンの消費量が高いという発見でした」「グルタミンは体のあらゆる組織や器官にとってとても重要な物質です。しかし、鎌状赤血球は、正常な赤血球に比べて、血中のグルタミンを早めに使い果たしてしまうため、酸化に弱く、細胞がダメージを受けやすいのです」
「驚いたことに、鎌状赤血球症の患者がグルタミンを服用したところ、赤血球の酸化が大幅に減少。そして鎌形をした赤血球が、正常な形にちかづいたのです」「患者の症状がみるみるよくなり、鎮痛剤も使わずに済むようになりました。これは想像以上の結果でした」




 新薬はもうできたのでしょうか。
 以上は「1/4の奇跡」という本に書かれていたことなのですが、本の帯に「あなたの病気を、受け取った人がいる。」とありました。もしも私に雪絵ちゃんのような重い障がいがあり、このことを伝えられたら、いい話と思うかそうと思わない話だと思うかわからないです。
 でも雪絵ちゃんは「病気や障がいがとても大切だということ、みんなが素晴らしい役割を担っていること、すべての人が必要とされていること、いい話だから広めて」と言いました。
 そして病気を持った人はリスクが多くて不幸で、そうでない人は幸福かと言うと、雪絵ちゃんは「MSを敵にせずに。とにかくMSの雪絵をそのまま、まるごと愛しています。MSになったからこそ、今、周りにいる人に出会えた。」「別の人では、嫌。今、周りにいる人がいい。先生(注:山元加津子さん)がいい」「実は、これまで負け惜しみをいっぱい言ってきた。病気でもこんなに楽しいんだよ、とか。全然平気、とか。でもね、本当なの。健康な人と同じくらい悩みごとがあって、みんなと同じくらい楽しいこともあるんだよ。こんなこと言わなくても先生にはわかってもらえるよね。」「とにかく、私はどんな体になっても、歩けず、見えず、手を使えず、話せなくなっても、きっとMSの雪絵を愛していくと思います」「私は私で、大成功!」と山元加津子さんに伝えています。

 それから、どのような状況でも患者さんの悩み等を真剣に考えてくださっている人たちの存在も本当に有難いです。痛がっている人を目の前にしたら、私はおろおろするだけかもしれませんが、よしこの方のために薬を開発しようと思って行動してしまうなんてすごいなぁと思います。歯がなくなったら、入れ歯を作ってくれる人がいるし、義手や義足も作ってくれる人もいるし、嚥下機能が落ちてきて刻み食になって元もお料理がわからなくなったと思ったら、元の形のまま食べられる技術を開発してくださったり、コミュニケーションの道具として、文字盤を作ってくださったり、目の動きだけで意思を伝えられる装置を作ってくださったり。パーキンソンの震戦を軽減するスプーンを作ってくださったり。こういうのも「あなたの病気や障がいを受け取った人がいる」という見方もできるかもしれません。

 障がいの有無に関係なく、目の見える形やそうでなくても、「自分は支え、支えられるひとり」であるんだなと思います。
 
 あと私にたしなめるようにリュウがよく言うセリフも思い出されました。そのセリフは、

「その人が幸せか不幸か、その人じゃないとわからないことだ」

というものです。

 最後になりましたが、亡くなった雪絵ちゃん、貴重なメッセージありがとうございました。その後、「1/4の奇跡」という映画もでき、本も出版されたんですよ。
 
 ご冥福をお祈りします。




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佐藤リュウ(59歳)←夫
佐藤バニラ(永遠の20歳)←私
佐藤イブキ(社会人)←長男
佐藤ワタル(福祉施設通所)←次男

 夫佐藤リュウは、平成17年頃(48歳)より、物が二重に見える、手に力が入らない、全身が重苦しく感じる症状があり、会社勤務ができなくなりました。
 若年性のパーキンソン病の疑いとのことで、平成18年(49歳)より神経内科に通院し、平成19年にはパーキンソン病関連疾患と診断名が付きました。
 その後、平成22年 (52歳)、診断名が若年性の「進行性核上性麻痺」に変わりました。
 ずっと自宅より通院していましたが、平成24年4月に自宅外で転倒骨折し、手術入院となってしまいました。入院時、誤嚥性と思われる肺炎も併発していて、現在も入院中です。平成26年11月19日に胃瘻造設しました。
 夫が仕事ができなくなった平成17年時、上の子が小学校6年生、下の子が小学校2年生(多動と自閉で特別支援学級在籍)でした。
 私は、平成19年より、平日フルタイムで仕事しています。たくさんの方のお力をお借りし、生活しています。
 北海道在住です。

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